入れ歯について
歯を失ったときの治療としては、保険診療で入れ歯を作成することができます。
短期間で治療をおこなうことができ、かつ保険適用の入れ歯であれば価格を抑えることができます。
一方で、保険適用の入れ歯は「天然歯と比べて噛む力が7〜8割弱くなる」「食べ物の味や温度を感じにくくなる」「違和感があってしゃべりにくい」「嘔吐感を感じることがある」などの懸念点もあります。またばねをかける歯のみに負担がかかるためにさらに歯を失うリスクの高い治療法です。

保険の入れ歯の問題点
保険の入れ歯は3~4年で
80%が作り直し!
保険の入れ歯は長期間きちんと噛めるように使用することは不可能です。
両側にバネをかける健康な歯を痛め、さらに大きな入れ歯になります。
また、費用面のメリットが大きいものの、デメリットについても事前に把握しておくべきでしょう。
そのデメリットの根拠としては、東京医科歯科大学で行われた保険入れ歯の追跡調査があります。
その結果、保険部分入れ歯を製作してから3~4年で80%が作り直しになるという結果が出ました。
再作製になってしまった理由は大きく2つあります。
- バネがかけられた健康な歯に負担がかかり、トラブルを引き起こすから
- 入れ歯自体が折れたり壊れやすいから
入れ歯そのものが壊れるのではあれば、まだ良いのですがもともと健康だった歯に負担をかけ、虫歯や歯周病などのトラブルを引き起こしていたことも判明したのです。
なぜ健康な歯を痛めたり、入れ歯自体が壊れてしまうのでしょうか。
保険の入れ歯の規定に原因現状の回復目的が歯科の保険の限界
歯科治療において保険適用させるためには、素材や製作方法が制限されます。
それでもその範囲の中で、より良いものを作っていくことが歯科医師や歯科技工士の仕事なのですが、どうしても限界があります。
保険の入れ歯では金属製の華奢なバネを健康な歯に引っ掛け調整していますが、それが原因で入れ歯の部分で噛んだ際に支えとなっている歯に横揺れの力が加わり、極端な負担を生じます。それが原因で、バネのかかる健康な歯を痛めてしまうのです。
また保険の入れ歯では、プラスチックを使用します。そのため、強度を保つためにどうしても入れ歯そのものの厚みが生まれます。
それが装着時の違和感に繋がりますし、そもそも金属製の入れ歯の方が強度も高いという点があります。
先進国では日本の保険で作るプラスチックメインの入れ歯は存在せず、金属を用いた日本でいう自費入れ歯のみしかないそうです。
保険と自費の入れ歯の違い
- 1.入れ歯が壊れやすい
- 2.入れ歯が動くのでよく噛めない
- 3.厚みがあるため違和感が大きい
- 4.バネのかかる歯を痛める
- 5.味や温度が分かりづらい
結果として保険の義歯を使う事で歯を失う可能性を高めてしまいます。
- 01入れ歯が動かず、壊れにくい
- 02入れ歯が安定しているのでよく噛める
- 03薄いので違和感が少ない
- 04バネのかかる歯を痛めづらい
入れ歯を作る歯科医師の技術をしっかり表現できる義歯と言えます。
義歯・インプラントなどの平均使用年数
歯を喪失した際に、利用される治療としてインプラント、保険の入れ歯、自費の入れ歯、ブリッジがありますが、一般的に使用できる期間は、
保険義歯(入れ歯) | 3~4年 |
自費の義歯(入れ歯) | 5~15年(患者さまの口腔内状態にもよる) |
インプラント | 10~20年(20年以上問題ない方も!) |
ブリッジ | 7~8年 |
*入れ歯は、1年に一度かみ合わせや歯茎との適合の確認が必須です。
また5年程度経つと人工の歯がすり減るので修理が必要です。
入れ歯について当院の結論

いしはた歯科クリニックでは、口腔内や全身の健康増進という観点から歯を失ってブリッジの出来ないケースでは、
インプラントもしくは自費入れ歯での治療を推奨しています。
今後、保険制度が変わった際には保険の入れ歯を推奨する可能性もございますが、現行の制度では自費の入れ歯の方が自信をもっておすすめすることが可能です。
保険の入れ歯を選択することで残った歯(バネをかける)を痛め、失うことで益々ご自分の貴重な歯は失われ、歯医者への通院時間も増え総入れ歯が近づきます。
またきちんと噛みにくいので栄養が偏り、オーラルフレイル(口腔の虚弱)から全身のフレイル(虚弱)につながり、将来的には寝たきりや認知症の発症リスク(2.5倍)も高まります。
健康寿命を伸ばすためにも、保険の入れ歯でおしまいにするのは患者さんの為にはなりません。
院長は患者さんが一生涯きちんとしっかり噛めることで、より豊かな人生を過ごせると共に縁ある患者さんの健康寿命を増進することに歯科医としてのやりがいを感じております。
当院の方針として、自費の入れ歯を製作を希望される方は全て院長が対応することになっています。当然、保険診療の入れ歯を軽視するということでは決してありませんが、必要な知識や経験を考えた際にこのような対応に現状させていただいております。
ご了承下さい。
入れ歯の種類
入れ歯には大きく分けて「部分入れ歯」と「総入れ歯」の2つがあります。
プラスチックと金属の金具で出来ており、残っている歯を利用して入れ歯を固定します。
総入れ歯よりも安価で治療できるうえに、外科手術は不要なため治療による負担は少ないです。
一方で、バネがかかっている歯には大きな力が加わるため、残っている健康な歯に負担をかけてしまいます。

保険ではプラスチックですが、自費では金属床の総入れ歯もございます。
また、通常の総入れ歯と異なる「オーバーデンチャー」と呼ばれるものがあります。
総入れ歯の一種で、インプラントをいくつか埋め込み、そのインプラントを支柱として入れ歯をはめ込みます。
歯を利用したオーバーデンチャーは歯冠(差し歯)をするには残った歯の状態が厳しい時に入れ歯の下に残根を置いておくことで噛む感覚が残り、入れ歯が沈み込むのを食い止めたり、入れ歯が外れるのを防いだり、入れ歯を安定させる役目を持たせることが出来ます。当院では、オーバーデンチャー以外にもインプラントオーバーデンチャー、アタッチメント義歯なども扱っており、症例によっては適用しております。

コーヌス義歯とは、残っている歯に金属冠をはめ込み、その上から入れ歯を固定するタイプの入れ歯です。みなさんも茶筒のふたが本体ときっちりくっついて、なかなか外れない経験をされたことはありますでしょうか。
コーヌス義歯はこの原理を応用することで、金属のバネを使うことなく自分の歯や歯根への負担を軽減することが可能になりました。また、入れ歯の中でも最も自然な噛み心地を実現できるため、自然の歯を再現できます。
当院でも、コーヌス義歯による治療を推奨しております。
コーヌス義歯は、部分入れ歯・総入れ歯ともに対応しております。
補綴のプロが勧めるコーヌス義歯義歯の中で咬む力が最も感じられる
- 1.入れ歯の中で最も噛む力が自然の歯に近い
- 2.入れ歯がコンパクトになるため話しやすくなる
- 3.歯にしっかり固定されるので食事制限が減る
- 4.取り外し可能なため衛生的
- 5.金属の留め具がないため審美性が高い
お煎餅やお餅も食べられるようになります。
- 01金額が高い
- 02取り外しに慣れないと時間がかかる
- 03適用できない症例がある
歯科医師の高い技術が求められます。
コーヌス義歯の症例
症例1


内容 | ・上は歯が2本、下は歯が1本しかない状態で来院。 ・よく噛める義歯の製作を希望。 ・下に支える部分を作る為にインプラントを埋入し、 ・コーヌス義歯を製作。上は連結コーヌス義歯で対応した。 |
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治療期間 | 6か月 | 自費治療(保険適用外) |
費用 | 1,600,000(税抜) | 通院における治療費は除く |
副作用 | 使用による副作用は現状では無いと考える。 | |
リスク | ・土台の歯を削らなくてはならず、場合によっては沁みたりする可能性がある。 ・神経のない歯には適用できないことがある。 ・削ることにより歯自体の寿命が短くなる可能性がある。 |
※費用は患者様毎に異なる可能性があります。
症例2
内容 | ・下の歯が犬歯のみ2本残っている状態で来院。 ・きちんと噛める義歯を希望。 ・下顎コーヌス義歯。 |
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治療期間 | 2か月 | 自費治療(保険適用外) |
金額 | 600,000(税抜) | 通院における治療費は除く |
副作用 | 使用による副作用は現状では無いと考える。 | |
リスク | ・土台の歯を削らなくてはならず、場合によっては沁みたりする可能性がある。 ・神経のない歯には適用できないことがある。 ・削ることにより歯自体の寿命が短くなる可能性がある。 |
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デメリット | きちんとブラッシングが出来る人にしか向かない治療法であること。 |
完成してから5年ほどたつが人工歯がすり減った以外に問題は起きていない。
※費用は患者様毎に異なる可能性があります。
症例3
内容 | ・娘さんと一緒に来院された78歳女性 ・入れ歯が痛くてあわずに噛めないと来院。 ・当院で噛み合わせを上げてきちんとした超精密義歯のコーヌス義歯を作成し ・かみ合わせも大きく上げました。 |
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治療期間 | 6か月 | 自費治療(保険適用外) |
金額 | 1,700,000(税抜) 上の前歯のセラミックと下のコーヌス義歯の合計金額 |
通院における治療費は除く |
副作用 | 使用による副作用は現状では無いと考える。 | |
リスク | ・土台の歯を削らなくてはならず、場合によっては沁みたりする可能性がある。 ・神経のない歯には適用できないことがある。 |
※費用は患者様毎に異なる可能性があります。
金属床とは?

2つ目の自費診療の入れ歯として、金属床があります。
金属床とは、舌にあたる部分や上顎に触れる部分が金属でできている入れ歯のことです。
保険適用で作成したプラスチックの入れ歯と比べて厚さが3分の1程度となっています。
非常に薄い素材となっているため、違和感が少ない入れ歯となっています。
金属床は、部分入れ歯・総入れ歯ともに対応しております。
【金属床のメリットとデメリット】
メリット
・多くの症例に対応
・プラスチックの入れ歯よりも薄い
・プラスチックの入れ歯よりも丈夫でたわみにくい
・装着による違和感が少ない
・金属なので変色が少ない
・食事のときに食べ物の温度を感じることができる
・「金」「プラチナ」「ステンレス合金」から素材を選べる
デメリット
・金額が高い
・修理が難しい
・金属アレルギーになる可能性がある
・金属アレルギーの方は使用できない
金属床の総入れ歯

金額 | 300,000〜1,000,000円 |
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保険 | 保険外 |
修理の可否 | 可能 |
耐久性 | 長持ち |
噛める度 | 保険と比べ良好 |
特徴 | 金属を使用しているので入れ歯が薄く、違和感も少ないのでご飯が美味しく感じられる |
リスク | 金属の味が気になってしまう可能性がある |
副作用 | 上あごに金属の総入れ歯を入れると保険の総義歯と比べて重さを感じる可能性がある |
※初診費用、虫歯などの治療費は別途かかります
金属床の部分入れ歯

金額 | 200,000円 |
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保険 | 保険外 |
修理の可否 | 可能 |
耐久性 | 10年程度 |
噛める度 | 保険と比べ良好 |
特徴 | 金属を使用しているので入れ歯が薄く、違和感も少ないのでご飯が美味しく感じられる |
リスク | 修理がやや難しいことがある |
副作用 | 金属のばねが審美的に気になる可能性がある |
※初診費用、虫歯などの治療費は別途かかります
ノンクラスプデンチャーとは?

3つ目の自費診療の入れ歯として、ノンクラスプデンチャーがあります。
ノンクラスプデンチャーとは、バネのない入れ歯のことです。
バネの代わりに歯茎の色に似た樹脂を使い、義歯床の範囲を広げ歯茎を覆って固定させます。
金属のバネがないため、綺麗な口元を再現でき、目立ちにくい入れ歯となっています。
ノンクラスプデンチャーは、部分入れ歯のみ対応しています。
【ノンクラスプデンチャーのメリットとデメリット】
メリット
・審美性が高い
・柔らかい樹脂素材を使用しているので歯茎に負担がかからない
・色が歯茎に近い色なので見た目が気にならない
・違和感が少ない
・歯を傷つける心配がない
デメリット
・歯の状態によって適用できないケースがある
・柔らかい樹脂素材なので歪みやすい
・樹脂のため寿命が短い
・脱着するたび少しずつ緩くなる
・汚れが落ちにくい
ノンクラスプデンチャー

金額 | 80,000円~150,000円(税抜) |
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保険 | 保険外 |
修理の可否 | 不可 |
耐久性 | 3年程度 |
噛める度 | 堅いものを噛むには難しい |
特徴 | 見た目が綺麗なので審美性が高い |
※初診費用、虫歯などの治療費は別途かかります
エステショットブライト
エステショットブライトとは、ノンクラスプデンチャーの1つで、金属製のバネを使用していない入れ歯です。
2008年にエステショットが厚生労働省に認定され、2012年にエステショットを改良して作られたエステショットブライトが誕生しました。
多くのノンクラスプデンチャーは、調整や修理が難しいというデメリットがあります。
エステショットブライトは調整や修理が比較的容易となっており、素材もやや硬いため「表面が傷つきにくい」「変色しにくい」「劣化しにくい」などの特徴があります。
当院でもエステショットブライトの症例事例が多数ありますので、検討中の方は以下をご覧ください。
KAZUKI.ISHIHATA