当院での顎関節症治療は、患者さまが当院に初診でいらっしゃった噛み合わせやお痛みの状況、治療経過と改善状況を動画を撮影させていただき変化を共有しております。
メリットとしては生活習慣が大きく影響する顎関節症治療は、普段の生活の中での患者さまの努力や気づいたときの癖を直すことが改善の近道です。
受診いただいた時だけの治療では、なかなか改善しないことが多いのも顎関節症の特徴です。動画を一緒に見ることでご自分でも意識することができてメリットが多くあります。
※患者さまの動画は個人情報に則り、しっかりと管理させて頂きます。ご安心ください。
顎関節症(がくかんせつしょう)とは?
顎関節症とは、「口を開閉するときに顎の関節に異音がする」「口の開閉がうまくできない」「顎を動かす筋肉が痛む」などの症状がでる病気のことです。顎は入り組んだ形をしており、筋肉と関節と神経が集中しているため、どこかに異常がでると顎が痛んだり動かしにくくなったりします。
顎関節症と疑われる際に、硬いものを食べたり、大きく口を開けたりすると、症状が悪化する恐れがあるので注意してください。
顎関節の場所
「顎関節」は、両側の耳(耳珠)の前にあります。
顎の関節は図に示すように、耳の穴の前側から前方約13ミリメートルのところに関節の中心があります。この部分に指を当てて口を開け閉めすると、下顎頭の動きを触って感じることができます。
顎関節の名称の説明
- 関節窩[かんせつか]とは
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関節窩(かんせつか)は関節を構成する受け皿になる部分にあるくぼみのことです。顎関節の他には、肩甲骨(けんこうこつ)の肩峰(けんぽう)の下にもあります。
- 関節円板(かんせつえんばん)とは
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関節円板(かんせつえんばん)とは、繊維組織で出来た顎関節のくぼみとくぼみの間にある骨より柔らかい組織のこと。
- 外側翼突筋(がいそくよくとつきん)とは
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外側翼突筋(がいそくよくとつきん)とは、顎関節を構成する咀嚼筋を代表する1つで、口を開けるための上頭とした頭に分かれる二頭筋です。外側翼突筋は下顎頭の翼突筋窩・関節円板・関節包に普段は停止しており、上頭と下頭は機能が正反対であり、上頭は関節版を引くことで開口し、下頭は咀嚼筋と共に閉口時に働きます。
- 円板後部結合組織とは
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円板後部結合組織は、前後および内外側方向の牽引負荷の緩衝や伸縮の許容、円板後部結合組織の前後的、上下的および内外側的な位置の制御などを担っています。
- 下顎頭(かがくとう)とは
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下顎頭(かがくとう)は下顎骨の先端部分を指します。普段は頭蓋骨の側頭部にある下顎窩というくぼみに収まっています。
- 関節包(かんせつほう)とは
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関節包(かんせつほう)とは顎関節を取り巻く線維の膜です。関節包の内側には滑膜(滑液膜)という層があり、滑膜細胞から粘液が分泌されることによって顎関節は滑らかな動きになります。また血管の無いこれらの関節円板や骨の表面の線維に栄養を与えます。
- 外側靭帯(がいそくじんたい)とは
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外側靱帯は側頭骨の頬骨突起あたりから下顎頭外側端にあり、顎関節の外側を保持する非常に強い靱帯です。
下顎を動かす筋肉は、「外側翼突筋」「内側翼突筋」、「側頭筋(そくとうきん)」「 咬筋(こうきん)」で構成されています。
肘や膝の関節と違って、顎関節は蝶番運動と滑走運動ができます。
蝶番運動のイメージ図
Tadashi Sotokawa – sotokawaが作成, パブリック・ドメイン, リンクによる
滑走運動のイメージ図
Tadashi Sotokawa – sotokawaが作成, パブリック・ドメイン, リンクによる
引用元:ウィキペディア
上顎は頭蓋骨に固定されているため、位置はずれません。ですが、下顎には遊びがあり、容易にずらすことができる組織です。そのため、顎をずらすことは簡単にできます。
- 1.顎関節を動かすと異音が聞こえる
- 2.口を大きく開くと痛い
- 3.口を閉じれなくなる
- 4.顔面に痛みがある
- 5.顔面の筋肉疲労がある
- 6.口を左右にうまく動かせない
- 7.顎が外れることがある
上記のような症状が現れた場合、顎関節症の疑いがあります。
- 01耳に痛みがある
- 02耳鳴りがする
- 03偏頭痛が起きる・する
- 04眼球疲労・目が痛む
- 05肩こり
- 06腰痛
- 07めまい・立ち眩みが起きる
- 08歯や舌の痛み
上記の症状が現れた場合、顎関節症によるものとは限りませんが、早いうちに専門医による診察を受けましょう。
顎関節症になる原因
顎関節症は多因子性疾患と言われています。
多因子疾患とは、多数の遺伝子が作用して、生活習慣や遺伝などの要因が合わさって起こる病気のことです。因子には解剖学的要因・生理学的要因・外傷要因・咬合要因・精神的要因・行動要因といくつかの要因がありますが、この中で早期に改善が出来るのは行動要因だけです。
- ●解剖学的要因
- 骨や筋肉、神経などの組織の異常が原因となるものを解剖学的要因
- ●生物学的要因
- 筋力がないなどの要因
- ●外傷要因
- 怪我などの要因
- ●咬合要因
- 不正咬合などの要因
- ●精神的要因
- 骨や筋肉、神経などの組織の異常が原因となるものを解剖学的要因
- ●行動要因
- 生活習慣などの要因
- 行動要因の調査結果
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片がみ癖 64.8% 不良姿勢 59.8% 多忙な仕事 57.7% TCH 50.4%
KAZUKI.ISHIHATA
上記より顎関節症の主な行動要因としては「片がみ癖」「寝るときの姿勢」「無意識の食いしばり」「頬杖」「楽器の演奏時などの無理な姿勢」「日常生活で負担のかかる姿勢や動作」「ストレス(精神的や肉体的)」などの原因があります。
複数の原因が重なったときに、顎関節症が発症します。
また、当院来院患者様の80%以上の方が片がみ癖による顎関節症です。
片がみ癖は歩行・呼吸・嚥下と同様に無意識行動(自動化・ループ化・エングラムとも言う)なので患者さんは無自覚ですが、長期片がみを継続することで顎関節の動きに偏り・左右差が発生してしまいます。
顎関節症を悪化させてしまう習慣や誤った治療については、「あなたは大丈夫?顎関節症の人がやってはいけないこと」で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
顎関節症の治療法
当院の顎関節症治療は、以下のようなその場しのぎの対症療法ではなく、きちんと原因から治す原因療法を行っております。
【その場しのぎの対症療法と考えられるもの】
・マウスピースをはめてただ様子をみていただく
・痛み止めを処方する
・関節腔に注射をする
・レーザを照射する
・筋弛緩薬を注射する
・温罨法
KAZUKI.ISHIHATA
また、最新の知見では顎関節症の治療目的にマウスピースをはめて様子を見ることは無意味・もしくは悪化の可能性があるためしてはいけないとなっております。ただしこれを知らない歯科医が90%以上と思われます。
いしはた歯科クリニックでは、食べ物の噛み方に由来した顎関節の位置のずれを矯正するための原因療法として、顎関節症になってしまった要因となる例えば噛み方の癖やTCH(歯列接触癖)などの癖を患者様に知って自覚していただきます。そして顎への悪影響を知っていただき、再発しないように下顎の正しい使い方をレクチャーし、下顎の運動障害を改善していく機能的運動療法(ストレッチ療法)を実施しています。
初診時に必ず顎関節の変形や腫瘍の有無を確認するためのCT検査とオリジナルマウスピースの型どりを行っております。
治療の料金について
※他の治療・検診は他院の場合
初診料 | ¥66,000(税込) |
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2回目以降(保険適用外) | ¥10,000程度(税込) |
されている患者様の場合
初診料 | ¥15,000~30,000(税込) |
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2回目以降(保険適用内) | ¥2,000~3,000程度(税込) |
- リスク・
副作用 -
- 治療後に一時的な筋肉痛や疲労感を感じることがある
- 正しい位置に戻るまで、違和感を感じることがある
顎関節症を改善する為の指導は当院オリジナルのものになりますので保険適用外の指導・改善治療になります。
また治療効果の確認のため必ず顎の動きの動画撮影をしますのでご了承下さい。
≪顎関節症をご希望の方へ≫
当院で顎関節症治療または噛み合わせのお悩み相談を受信される場合、定期検診を兼ねて受診いただくと保険適用内で行えますので、窓口支払いの費用が15,000円~30,000円程度になります。
2回目以降の受診料は調整料(指導+改善治療)は保険適用内で、2,000~3,000円程度かかりますのでご了承ください。
※治療費が5,000円以上かかる場合は受付もしくは歯科医師よりおおよその金額をご説明致します。
≪治療費について≫
当院では、口腔内全体の治療を1つの単位として考えております。
う蝕・歯周炎(歯周病)、メインテナンスなど含め、顎関節症治療も口腔内の総合的な治療のひとまとめの内容と考えております。
治療から管理とサポートを目的としておりますので、ご理解・ご了承頂きますよう宜しくお願い致します。
※部分的な口腔内の診療所を分けた同時診療はトラブルの原因となりますため、顎関節症治療などデリケートな治療におきましては当院での総合的な管理・治療を推奨致します。
顎関節症の関節雑音の種類について
- クリック音(相反性クリック・レシプロカルクリック)
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クリック音は口を開け始めると早期に発生し、口を閉じる際にも発生します。
いずれの場合も、音の発生原因は、関節円板と呼ばれる部位にあります。口を開ける時になるクリックをリダクションクリック。
口を閉じる時になるクリックをラクセーションクリックと言います。関節円板の位置が前方にズレることで、口を開け閉めする際に顎関節と関節円板がに前後的に乗り降りする時に音が発生します。クリック音は消すことが可能で大体1~3カ月程度で当院の患者さんはなくなっています。症状が進行すると、クリック音が消失して、口が開かなくなるという症状(クローズドロック)が現れることがあるようなので、痛みがあったり、口が開かなくなった場合には早めに受診するのは当然として、痛くないから気にしていない方もこの際きちんと治しましょう。
- クレピタス音(捻髪音)
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クレピタス音は「ジャリジャリ」と表現される事が多いです。
捻髪音とも言いますが、髪の毛を指でつまんで擦り合わせた時の「ジャリジャリ」といった感じのような音です。クロースドロックと言って、関節円板が完全に前方に位置し、口が開きにくい状態が長期化した場合に発生する関節雑音です。
顎関節の下顎頭が損傷したり、軟骨(関節円板)の変形や穿孔(穴が開く)によって生じる音で、顎関節症が進行している場合に多くなります。
ですからクレピタス音は完全に消すのが難しい関節雑音です。ただしこれも当院のやり方で消失出来る場合があります。
- エミネンスクリック音
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エミネンスクリック音は前の2つの音とはまったく異なり、年齢と共に関節がゆるくなったために通常以上に口が開いてしまい(上下前歯の間が55~60mm以上)、下顎頭が関節から前方に飛び出す際に大きく明瞭に発生する音です。
小さい頃から大きな口を開けて食べ物を頬張ったり、拳を口の中に入れて遊んでいたり、大声で歌い続けたりする経験がある人など大口を開けることが習慣となっている方に見られます。
また、加齢とともに硬いものを避けるようになると、咀嚼筋(物を噛む際に必要な口周りの筋肉をいくつかまとめたもの)が衰え、関節がゆるくなる場合もあります。大きく口を開けることを避けて、よく噛んで咀嚼筋を鍛えることが肝心です。
治療の必要性はありませんが、放置すると脱臼を起こすこともしばしばあります。
顎関節症の治療例
右側の顎関節部に痛みがあり、口を開け閉めする際に顎の周囲で音が鳴る患者さんの場合
食事の時に常に右側の奥歯で噛む癖がある患者さんでした。
しばらくの間右側では一切かまずに、下顎を意識して左前にずらして左側の中間の歯(犬歯や小臼歯の辺り)で常に食べていただきました。癖を治すのは、右利きを左利きにするようなもの、慣れるまで大変違和感があったそうです。慣れるまで(1~2週間)はご飯を美味しく感じなくなり、食事に時間がかかってしまったそうです。
右側の顎関節部のかみ癖を取るためには、左前方で噛むことに慣れていただき、寝る時は左側を下にして寝る、一人でいる時や寝る時は下顎を左前方にずらしておく。鼻の下を伸ばす等のトレーニングをしていただきました。痛みは二週間、開け閉めの時の顎の音は一カ月半で完全になくなりました。これらは当院で行う治療、指導の一部です。
当院では顎関節症を治すために様々な指示を出します。
それを素直に実行している方は症状が改善し、自分で下顎をコントロールすることが出来るようになります。
現在顎関節学会や大学病院ではクリック音(コキコキ、ジャリジャリ)は治せないとされていますが、当院の治療法ではクリック音がならない状態に治せます。
実際大学病院で治らなかった方も多数治しております。
痛みの改善には2週間~1か月、関節雑音の改善には1か月~3カ月かかることが多いです。
KAZUKI.ISHIHATA