父の遺志を受け継ぎ補綴治療と
顎関節症治療に注力する歯科医師
患者が美味しく咬める一生涯を送るために最適な治療を施す
「自分にしかできない顎関節症治療を突き詰め、トップを目指していきたいです」
公開日:2026/01/26
「自分にしかできない顎関節症治療を突き詰め、トップを目指していきたいです」
歯科医院を訪れる患者の中には、「左側で咬めるから右側で咬めなくても大丈夫」と言う者もいる。しかし、
「右手があるから左手がいらない、とは言わないでしょう。しっかり両側の奥歯で咬めていない人は転倒し
やすいというデータもあるのです」と、医療法人社団樹伸会の石幡一樹理事長は言う。
「患者さんに健康でいて欲しいので、丁寧に歯の治療について説明しています。治療したとしても、ちゃん
と咬めなければ仕方がありません。私は歯を減らさないための、最善の治療をしたいのです」
そんな石幡理事長は補綴治療の第一人者。全歯科医のうち
0.6%のみという日本補綴歯科学会指導医として認められている。
「入れ歯を作成した患者さんの中には亡くなった方もいます。最期まで食事ができ、お棺に入れ歯を入れて
旅立ったという話を聞くと、歯科医師冥利に尽きる思いです。食べることは、人生の上で大切なことですから」
更に、顎関節症治療にも精通している石幡理事長。同氏が治療にかける熱意。そして、敬愛する父との歩
みに迫る。
父が補綴治療と顎関節治療で高い評価を受けた、東京医科歯科大学の臨床教授だったという石幡理事長。
自身も歯科医師を志し、2011年に東京医科歯科大学大学院を卒業した。
「進学か入職か迷っていた時、父から『これからは強みが必要だから、博士号を取りなさい』と声を掛けられました。この言葉を受けて大学院へ進学したのです」
東京医科歯科大学大学院では、父の元で入れ歯について深く学び博士号を取得。またここでは、101歳で上下ともに総入れ歯の患者を担当したこともあった。当初は食べ物が咬めなかったが、石幡理事長が大学医院で学んだ知識で作った入れ歯により、硬い物を咬めるように。目の前で煎餅や沢庵を食べて見せ、「美味
しく食べられるよ」と、手を握ってくれたという。
「そして『ありがとう。先生みたいな歯医者さんともっと早く会いたかった』と感謝の言葉をもらいました。
また、『やっぱり食べることが一番楽しい』と話しておられたことも印象に残っています」
大学院を修了した後は、2つの歯科医院を行き来し臨床経験を積んだ。その中で、歯科医師の妻と出会い結婚。結婚後に義父から、久喜市での開業について提案を受けた。
「今思えば経験が浅かったのですが、『入れ歯ができるならどうにかなる』という考えで開業を決めました」
こうして2012年、31歳の頃にいしはた歯科クリニックを開業。「多忙であるにも関わらず、父が週3日手伝いに来てくれました。私のために惜しみなく時間を使ってくれて、とても嬉しかったです」
尊敬する父と共に働きつつ、セミナーや勉強会に参加し知識や技術を磨いた石幡理事長。その努力により同院は、1日約70名もの患者が訪れる歯科医院となった。
そんな頃、石幡理事長にとって最も辛い時間が訪れた。2015年11月、父が急逝したのだ。
「父と共に診療した3年半は、かけがえのない時間でした。だからこそ、突然の別れに、強い喪失感を抱いたのでです。」
「父の分も頑張ろう」と自身に言い聞かせながら、必死で患者と向き合い続けた石幡理事長。しかし、増え続ける患者に対応するための、医師の育成や採用は上手く行かなかった。
「なかなか先が見えず、心身共に辛い時期でした。しかしある時、『私も、もっと成長しなければ』と初心に返り、学び直すことにしたのです」
そうして精力的に学び臨床の幅と深さを磨いた石幡理事長の元に、再び転機が訪れる。
「真剣に入れ歯治療へ向き合ってきたからこそ、入れ歯の限界に気付いたのです」
医科歯科大学が行った保険入れ歯患者400人の追跡調査で、3~4年で80%の患者が入れ歯を作り直したというデータもある。父から聞かされていたこのデータに、この時やっと実感が伴ったのだ。また、担当患者に入れ歯が原因で歯を更に失った事例や咬む力を十分に発揮できない事例が多かったという。
「これらの欠点を解決したのがインプラント治療です。そのため『患者さんの歯に対する負担を減らし、人生を豊かにしたい』と、私は技術の修得に没頭しました。
2019年に年約30本だったインプラントの症例数は、6年後の現在、年約500本にまで伸長しています」
2020年には法人化し、医療法人社団樹伸会を設立。
2022年には久喜総合歯科、その2年後には大宮駅の近隣に大宮いしはた歯科を開院した。
2025年末現在は、常勤医師10名を始めとした総勢65名が所属するグループに拡大しており、今後も大宮へ分院を増やす構想があるという。
そんな同院で石幡理事長が大切にしているのは、尊敬する歯科医師に教わった〝一口腔一単位の治療〟だ。
「『銀歯が外れた患者さんが来た際に、そこだけを治して終わりにしてはいけない。主訴だけでなく、お口全体の噛み合わせやバランスも診る歯科医師であるように』
と教わりました。樹を見て森を見ずではなく、全体を見る歯科医師であり続けたいです」
同院が特に注力する治療の一つが、歯の被せ物や入れ歯、インプラント等が代表する〝補綴治療〟である。
石幡理事長は日本補綴学会認定医・専門医資格を所持。加えて、日本補綴歯科学会指導医としても活躍している。
得意とする入れ歯は、扱う歯科医が稀な自費診療の 〝コーヌス義歯〟だ。
「コーヌス義歯は、茶筒の蓋を本体とくっつける原理を応用することで、金属のバネを使わず歯や歯根への負担を軽減します。最も自然な噛み心地となる入れ歯です」
保険診療での入れ歯については「咬む際にバネをかけた歯が揺すられて削れ、歯周病が悪化し、健康な歯も失う原因となります」と石幡理事長。
「使用できる材料も限られており、3~4年で作り直しになることが殆どです」
対して自費のコーヌス義歯は、製作から10余年も保っている事例がある。そのため保険の入れ歯を希望する患者には「自分の歯を大事にしたくないのですか。ただ安いだけでしっかり咬めず、残っている歯を最も早く駄目にする治療ですよ」と説明している。
しかしコーヌス義歯であっても、逐次咬み合わせを診る、歯茎と入れ歯の裏側の調整などの処理が必要だ。
そして摩耗し咬み合わせが変わった部分を取り換え、やっと10年保つことができる。
「縁あって来院された患者さんの歯をこれ以上失わせないため、最善を尽くしたい。そのための答えがインプラント治療です」
インプラントは自然な歯と遜色なく咬むことができ、着脱の必要もない。加えて10~30年持つ治療だ。しかし、全員に勧めるわけではなく、患者の年齢に合わせて治療法を変更している。
「50代半ばなら、平均寿命までに作り直しが必要な入れ歯ではなくインプラント。
70代半ばで持病や疾患がある方には、手術が要らない入れ歯をお勧めします」
また、上下に入れ歯が入っている場合、片側だけインプラントを提案する場合も。「入れ歯をなくす方や、はめずに放置している方も多いのです。そのため違和感が強い側などをヒアリングし、インプラント手術を提案しています」
患者の生涯を慮り、それぞれにとって適切な補綴治療を提案する石幡理事長。同氏を頼り訪れる患者のため、その技術を遺憾なく発揮している。
補綴治療と顎関節症は一見別分野のように思えるが、「密接に絡んでおり、極めて近いものです」と石幡理事長。
「お口全体を健康に保つため、まず考えるのが顎について。虫歯などの主訴だけでなく、顎や歯周組織なども考慮するのが一口腔一単位の治療なのです」
顎関節症には、生活習慣によって発症しやすいかどうかの差異がある。特に顎の筋肉や顎関節に負担をかけやすい者は顎関節症を発症しやすい。例としては、上下の歯の接触時間が長い場合が挙げられる。同院の統計では、顎関節症患者の75%にその癖があった。
本来上下の歯が接触しても良いのは、食事の時間のみの1日20分。たとえばPCでの仕事中に歯が常に接触していたり、睡眠中に短時間食いしばったり、咬みしめるだけでも咬筋が収縮し、顎がこってしまうためだ。
これが無意識下で持続すると、筋肉の収縮と疲労が慢性化し、筋肉がどんどん肥大していく。すると、ますます筋肉が収縮する悪循環を起こす。これは、肩こり・頭痛・耳鳴り、顎のだるさ・口が開きにくくなる等といった症状の原因にもなる。
手にペンを持つだけでも、前腕部はわずかに緊張する。一時持つだけならば力はいらないが、5時間も持ち続ければ疲れてしまうだろう。それと同様の理論である。
顎関節症の発症に関わる生活習慣の中で最も悪影響を与えるものとして、〝偏った咬み方から生じる偏った下顎の動き〟が挙げられる。食いしばり癖・歯列接触癖のみであれば両顎の筋肉が同等に痛くなるはずだが、そういった患者は少ない。
実際、樹伸会に来院した顎関節症患者、約200名のうち90%以上が、片側だけに痛みを訴えている。
「人間は咀嚼する時、必ず下顎をわずかに右か左にズラした状態で無意識の咀嚼をしています。これを無意識のまま長期間持続すると下顎の動きが偏った状態になるのです。左で咬む癖があると、顎が左にずれて行く。すると顔の右側の筋肉が弛緩し、相対的に左が収縮し筋肉が凝り固まっていき、顎が痛い、顎で音が鳴る等の症状が表れます」
咀嚼は歩行や呼吸のような無意識行動であり、自身の咬み方を把握している者は少ない。
「そのため患者さんに鏡の前で口を開け閉めすることで癖を自覚してもらい、改善するための顎の使い方を説明します。その後は慣れない咬み方で生活してもらうため、『良いバランスを戻すため、リハビリの意識で取り組みましょうね』と伝えています」
リハビリによって症状は徐々に緩和し、5、6回の通院、約3カ月という短期間で85
%の顎関節症が改善するという。
この手法は、「父が考案したものです」と石幡理事長。「顎関節症になった父はいろんな治療を試したのですが、なかなか症状が改善しませんでした。しかし、顎をずらすと顎関節症が治ったのです。この方法は患者さんにも効果が認められました」
石幡理事長も父の手法を引き継ぎ、多くの顎関節症を治療して来た。
「精一杯の親孝行と思い、父の研究を広めたい。大学の顎関節症治療とは考え方が違うので、相違点を理解してもらえるよう努め、親子2代で治療法を啓蒙していきたいと思います」
石幡理事長のモットーは〝分かりやすく、親しみやすく、あまり患者さんと距離を取らないようにすること〟。また、〝誠実〟であることだ。
同院は自費診療が中心であるため、患者に費用の説明をすると「高い」と言われることもある。しかし、歯は人生の豊かさに直接関わるため、安易に妥協してよいものではない。
「患者さんには、『80歳までしっかり咬める人生のための代償です』と説明しています。当院に来た患者さんには、生涯咀嚼で苦労せず、美味しい食事を味わって欲しい。希望通り廉価な治療で対応するのも医療人としての誠実さかもしれませんが、『一生涯咀嚼で苦労せず健康を害さないため』という信念に基づき、最善の治療を行うことこそ真の誠実さではないでしょうか」
この誠実な対応を求め、遠方から新幹線で「お金がかかっても良いからしっかり治して欲しい」と訪れる患者も。治療後は「先生のお陰でしっかりした治療を受けられた」
と感謝の声を伝えられることも多く、石幡理事長の技術力が伺える。
患者だけでなく、日本補綴歯科学会指導医である石幡理事長に師事を求める若い歯科医師も同院へ集まっている。
「自費の入れ歯や咬み方、一口腔一単位の治療を学びたい等、入職する方は目的意識を持った人ばかり。皆意欲的で嬉しい限りです」
また若手医師に保険診療を任せることで、石幡理事長は自費診療に集中できている。「全ての人を救うことが理想ですが、リソースに
は限界があります。そのため私は『しっかり治して欲しい』という方に技術を注ぎ、私も患者さんも納得できる治療に注力しています」
今後は、「父が大学の臨床教授だったので、私も臨床教授を目指したい。そのために講演活動や歯科医師向けの本を執筆していきたい
です」と石幡理事長。現在もインプラント治療や顎関節症などの講演活動を始めとした啓蒙活動を行っているが、今後は特に「専門家
が少ない顎関節症に注力していきたい」と言う。
「顎関節症セミナーを受講した全国の先生から、『患者さんの顎関節症が治療できるようになった』と、感謝のメッセージが届いています。
父から、人と同じことをするなと言われました。これからも父と私の顎関節症治療を突き詰め、啓蒙していきたいです」
樹々が天高く伸びるように成長を続ける同院。石幡理事長は今後も父の教えを胸に、患者が一生涯咬め、美味しい食事ができる歯を
作り出していく。
スケーリング(scaling)
スケーラーと呼ばれる器具を使用して、主に歯の表面の歯石やバイオフィルム(細菌の塊)を除去する処置をスケーリングと言います。
ルートプレーニング(root planing)
歯周ポケット内部の歯石や歯根表面の汚れ付着したセメント質を除去し、歯の根(root)を硬く滑らかに(planeに)する処置をルートプレーニングと言います。
・V-CAT応用の効果
画像左、リアクターとオフィスジェルが塗布された状態から光照射が行われるとリアクターの中のV-CATから電子が放出され過酸化水素と反応します。
画像3枚目、OH、ヒドロキシラジカルが生成し、着色物質を効率的に分解し始めます。これにより白く美しい歯にすることが可能です。
・光触媒無し
画像右から2番目、オフィスホワイトニング・ジェルが塗布された状態です。
画像右、光照射されると一部の過酸化水素が反応し、ヒドロキシラジカルに変化します。
上層部のヒドロキシラジカルを分解します。
ホワイトニングは3~4か月で色戻しますので、歯科医師・歯科衛生士に相談の上、歯の健康を考えながらホワイトニングを行いましょう。
・初めて入れ歯を作られる方
(フィット感がよいので、従来のものより慣れやすくなっています。)
・奥歯など2~3本の少数歯が欠損されている方
・入れ歯を入れて笑うと金属のバネが見えて気になる方
・入れ歯の金属のバネで歯が締め付けられたり、違和感がある方
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日本補綴歯科学会指導医
医療法人社団樹伸会 理事長