先日、初診で「舌の下に膨れたものがあってそれが膨らんだり、つぶれたりします。」と初診で小学生の男の子が来院されました。
自分で無理に潰したようですが、また膨らんだとのこと。
「これは悪い物ではないですか?」と、心配そうに尋ねられたので、
今回はこれについて説明させていただきます。
※写真はイメージ画像です。
公開日:2020/08/09
先日、初診で「舌の下に膨れたものがあってそれが膨らんだり、つぶれたりします。」と初診で小学生の男の子が来院されました。
自分で無理に潰したようですが、また膨らんだとのこと。
「これは悪い物ではないですか?」と、心配そうに尋ねられたので、
今回はこれについて説明させていただきます。
※写真はイメージ画像です。
「口内炎が治らない」「水ぶくれが口の中に何度もできる」口内炎や水ぶくれで悩んでいませんか?
このような疾患は「粘液嚢胞(ねんえきのうほう)」の可能性があります。
粘液嚢胞は、自然につぶれて小さくなることもありますが、再発することが多く、放置しても治ることは少ないです。
この粘液嚢胞について、症状や治療法などをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
舌や唇、特に下唇に半丘状のちいさな水ぶくれのようなものがぷくっとできることがあります。
この中に溜まっているのは唾液なのだそうです。
皮膚の汗腺から汗が出るように、口の中の「大唾液腺」と「小唾液腺」から唾液が分泌されます。
大唾液腺は耳下や顎下・舌下、小唾液腺は口腔粘膜やのどの粘膜のに存在しています。
小唾液腺からは細い管が無数に出ており、管を通じて唾液が口内に分泌され、口の中の粘膜を湿らせています。
この小唾液腺から出ている管が傷つくと、詰まったりもれたりして、
唾液が正常に分泌されずに粘膜の下に溜まってしまうことあるそうです。
これが「粘液嚢胞」と言われています。
1.5mm程度の水胞が出来る粘液嚢胞は、主に下唇の粘膜や頬の粘膜にできるものが多く、その次によく出来るのが舌下だそうです。
舌下にできるものはブランダンヌーン嚢胞と呼ばれます。
また口底に出来るものは「がま種」と呼ばれ、唾液腺の中でも大唾液腺の「舌下腺」の損傷によってできる粘液嚢胞だとのことです。
嚢胞が唇の真ん中に出来ることは珍しい症例で、左右のどちらかにできるのが一般的だそうです。
また、上唇にできることはほとんどないとのことです。
大きさは直径5mm前後で、半丘状に粘膜がぷくっと膨れ上がったようになるそうです。
粘膜と同じような柔らかさで、硬くなったりはしないようです。色も周りの粘膜と同じような色とのことです。
粘膜が傷ついた直後でない限り、痛みもないそうです。
例えば、粘液嚢胞を噛むなどして潰してしまった場合、嚢胞が破れて中から粘り気のある唾液が出てくるそうです。
中身がなくなるので、一旦しぼんで小さくなりますが、数日で再度唾液が溜まり、嚢胞が再び大きくなると言います。
自然に治ることはほとんどないのだそうです。
また、嚢胞がつぶれては大きくなるという再発を繰り返すと、徐々に表面が硬くなり、白っぽくなるそうです。
そのうちに嚢胞が直径1cmくらいに大きくなってくると、表面の粘膜は薄くなり、青紫色がかった色になり、内部が透けて血管が見える場合もあるとのことです。
特に子供に多いようですが、もちろん大人の方でも発症する可能性はあるとのことです。
10歳未満の子供から30歳代の大人に多く見受けられ、50歳以降の高齢になると発症例は少ないそうです。
男女差は基本的になありませんが、10歳代までの若い世代では女性の方が受診頻度が高いようです。
物を食べているときなどに誤って唇や頬の内側などを噛んでしまうことがありますね。
この時に粘膜を傷つけてしまい、この傷が治るときに、唾液を出す管が詰まってしまうことによって粘液嚢胞になると考えられています。
また誤って噛んでしまうだけでなく、下唇を噛む癖も粘膜を傷つける原因となるそうなので注意したほうがいいでしょう。
口内炎で粘膜が傷ついても同じように粘液嚢胞の原因となるようです。
口内炎の原因ははっきりとされてないそうですが、ビタミン欠乏、鉄欠乏、ストレス、女性の性周期、遺伝、栄養障害などが症状を悪化させる原因と言われています。
歯並びが悪いなどの理由から、いつも同じところに歯の先端などがあたっていたり、または歯並びの矯正のための矯正器具や入れ歯などがあたって、粘膜を傷つけてしまう場合も同様に粘液嚢胞の原因として挙げられるそうです。
また、怪我をして歯が欠けたり、虫歯で歯に穴があいたりしても、その欠けて尖った部分が粘膜を傷つけることもあるそうです。
粘液嚢胞は、破れても再発してしまうことが多いので、手術での摘出となるそうです。
おそらくこの治療法が最もポピュラーです。
手術は、局所麻酔で粘膜を切開し、嚢胞を摘出します。
その際に嚢胞付近にある、原因となっているいくつかの小唾液腺も同時に摘出するとのことです。
最後に傷口を縫合します。通常は1週間程度で抜糸を行うそうです。
手術の所要時間は麻酔が効くまでに5分、手術が10分程度と短時間で済むようです。
術後は傷口から多少の出血が見られますが、痛みはほとんどありません。
但し術後しばらくは傷口に腫れが見られ、引くまでに数日間を要するそうです。
また大きな粘液嚢胞、特に「がま腫」については、嚢胞の半球状の部分を切除して、唾液の流出経路を確保する「開窓療法」という治療法がが効果的な場合があります。
しかし再発を繰り返す場合は、原因である舌下腺を摘出することもあり、これは全身麻酔での手術となるとのことです。
レーザー治療は、虫歯の予防や歯周病の治療、口内炎の治療など、様々な治療に用いられていますが、粘液嚢胞の摘出も多く行われているそうです。
実際の治療方法としては、局所麻酔を少し行ってからレーザーで摘出となるそうです。
手術中は、全くと言っていいほど痛みがなく、出血も少抑えることができるので、縫合の必要もないとのことです。
また、メスで切除する手術方法よりも、麻酔が切れた後の痛みも少ないそうです。
さらに、レーザーの発熱によって新陳代謝が促進され、組織を再生する力が高まるため、傷の治りが早いというメリットがあるとのことです。
凍結外科療法とは、冷凍療法とも呼ばれ、液体窒素(またはアルゴンガス)で発生させた超低温状態を利用して異常組織を破壊する療法だそうです。
しかし、 凍結外科療法を行うために必要な技術や設備を備えた病院は、現在のところ国内にそれほど多くないとのことです。
手術以外の方法では、OK-432嚢胞内注入療法という治療法があるそうです。
OK-432 (ピシバニール)という薬剤を、局所麻酔にて注射器で注入する方法になります。
この薬は、もともとは免疫力を高める薬だそうですが、組織に炎症反応を起こさせて、腫れを収縮させる作用があるため、粘液嚢胞の治療にも応用されているそうです。
但し、副作用として発熱することがあるとのことです。大きさによっては、2~3回行うことが必要になるそうです。
小さい嚢胞は自然につぶれることもありますが、つぶれても小唾液腺から唾液が漏れ出している限りは再発を繰り返し、自然治癒はほとんどないそうです。
ただし、唾液の漏れが自然に停まることがあり、すると嚢胞が小さくなって消失する場合もあるそうです。
小さくしぼんで、コリコリした硬い感触になっていたら、自然治癒へ向かっている可能性があるとのことです。
その場合は、硬さは徐々に軟らかくなっていくようです。
また、唇を噛んだり触ったりする癖があると、自然治癒することもなく、また手術しても再発する可能性も出てくるそうです。
できるだけ外から刺激をしないようにした方がいいそうです。
特に子供の場合だと、新陳代謝も著しく、傷の治りも早いため、刺激しないようにすると3~6か月程度で自然に治ることもあるので、経過観察で良いこともあるそうです。
一応土曜日にいらしたお子さんは手術は怖いそうなので経過観察になりそうです。
このような嚢胞は悪い物ではないので安心して下さいと伝えました。
2024年8月9日加筆
久喜・いしはた歯科クリニック
スケーリング(scaling)
スケーラーと呼ばれる器具を使用して、主に歯の表面の歯石やバイオフィルム(細菌の塊)を除去する処置をスケーリングと言います。
ルートプレーニング(root planing)
歯周ポケット内部の歯石や歯根表面の汚れ付着したセメント質を除去し、歯の根(root)を硬く滑らかに(planeに)する処置をルートプレーニングと言います。
・V-CAT応用の効果
画像左、リアクターとオフィスジェルが塗布された状態から光照射が行われるとリアクターの中のV-CATから電子が放出され過酸化水素と反応します。
画像3枚目、OH、ヒドロキシラジカルが生成し、着色物質を効率的に分解し始めます。これにより白く美しい歯にすることが可能です。
・光触媒無し
画像右から2番目、オフィスホワイトニング・ジェルが塗布された状態です。
画像右、光照射されると一部の過酸化水素が反応し、ヒドロキシラジカルに変化します。
上層部のヒドロキシラジカルを分解します。
ホワイトニングは3~4か月で色戻しますので、歯科医師・歯科衛生士に相談の上、歯の健康を考えながらホワイトニングを行いましょう。
・初めて入れ歯を作られる方
(フィット感がよいので、従来のものより慣れやすくなっています。)
・奥歯など2~3本の少数歯が欠損されている方
・入れ歯を入れて笑うと金属のバネが見えて気になる方
・入れ歯の金属のバネで歯が締め付けられたり、違和感がある方
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KAZUKI.ISHIHATA