顔が急に腫れる 皮下気腫とは?
公開日:2016/11/21
- カテゴリー:
- お口のトラブル
こんにちは!
いしはた歯科クリニック院長の石幡一樹です。
今日の久喜は寒々しい天気です。これから雨が降り出すようです。
今回は歯科治療では、歯茎や顔が腫れることが起こりえるという話についてです。
歯の抜歯やインプラントなどの外科手術は、組織に侵襲を与えるので、当然ながら歯茎や顔が腫れることがあります。
しかし、外科処置に限らず、歯科治療では歯茎や顔が腫れることもあります。
歯科では、術野(処置する部分)を乾かしたり、歯を削ったりするために、圧縮空気(エアー)を使います。
このエアーの圧力は意外と強く、組織が疎な部分から体内へと空気が入り込むことがあります。
これを「皮下気腫:ひかきしゅ」と呼んでおり、歯科における偶発症の一つに数えられています。
皮下気腫は、次のようなときに起こる可能性があります。
● 歯や骨を削る必要のある抜歯(特に親知らずの抜歯)
● 根管治療時における、根管の乾燥や薬液洗浄
● 電気メスなどによる、歯肉息肉除去(歯茎の切除)の際の乾燥
● 仮歯や本歯を装着する前にかけるエアー 等
これらの中で、皮下気腫が起こる可能性が高いのは、親知らずの抜歯です。
歯茎を切開して剥離(はくり;はがすこと)し、エアータービンと呼ばれる高速切削機械で歯や骨を削る際に出る圧縮空気は、十分注意をしないと、剥離された歯茎から容易に体内に入ります。
皮下気腫になると、エアーが体内に入った瞬間に痛みを生じ、急激な腫れを生じます。
皮下気腫に特徴的なのは、当該部を押すと、エアーがはじけるプチプチ、プツプツという捻髪音(ねんぱつおん)や握雪感(あくせつかん:雪を握ったような感じ)があることです。
以前うちの医院でも歯茎の下の歯石をとった時に歯茎が歯に密着していない状態でエアーをかけた時に軽い皮下気腫が突発的に起きたことがあります。
その時はすぐに空気がたまった部位をもみほぐして事なきをえました。
確かにその部位を触ると指先にぷつぷついう捻髪音も感じました。
通常、皮下気腫は、抗生剤による感染予防を講じれば、特別な処置を必要とはしません。
しかし、気腫が大きく、もし気道を圧迫する恐れのある場合や息苦しさを訴える場合には、命に関わりますので、緊急入院が必要になることもあります。
いずれにしても、歯科治療後に異常な腫脹がある場合には、早めに担当の先生にご相談しましょう。
今回は皮下気腫についての話でした。
歯科医になってから一度しか経験していませんしめったに起きないことではありますが、是非参考にしてください。
医療法人社団樹伸会
いしはた歯科クリニック
理事長 石幡一樹
KAZUKI.ISHIHATA