顎関節症の主な原因は?治療法や簡単にできるセルフケアのやり方も紹介
公開日:2021/12/03
- カテゴリー:
- 顎の痛み・顎関節症
顎関節症は初期であれば、自然に治ることもありますが、ひどくなると口が開きにくくなり食事をするのも負担になってきます。
ただ、顎関節症は生活習慣に密接に関わっている部分も多いので、自分で改善できることもあります。
生活習慣を見直して、顎関節症を改善していきましょう。
そこで今回は、顎関節症の主な原因と治療法や簡単にできるセルフケアについて詳しくご紹介します。
顎関節症とは
顎関節症とは、あごの関節とその周辺の筋肉が何らかの原因で動きにくくなったり、痛みが出る病気です。
主な症状としては、口を開けた時に音がなったり、痛みを感じる、口が開けにくいといった症状が出ます。
さらにあごに不調が出ると、症状はあご以外にも出てくることがあり、頭痛、肩こりなどの不調を引き起こすこともあります。
また、個人差はありますが、首や腰、背中などの痛み、耳鳴りなど全身の症状につながることもあります。
顎関節症は関節の痛みと筋肉の痛みがあり、両方に痛みがでる場合とどちらか片方に痛みがでる場合があります。
顎関節症には、主に3つの症状があります。
・開口障害・顎運動異常:口が開けにくい
・関節雑音:口を開ける時や閉める時に音がなる
・あごの痛み:口を開けたり閉めたりする時に痛みがある
これらの「開口障害」「顎関節異常」「関節雑音」「あごの痛み」の症状が1つでもある場合に顎関節症と診断されます。
顎関節症の主な原因
顎関節症の発症は習慣が原因になっていることがよくあります。
顎関節症につながる6つの原因がありますので、ご紹介します。
【TCH(歯列接触癖)】
人の口の中では、安静にしている時は上下の歯が接触しておらず、少し 隙間が空いています。
しかし、無意識のうちに上下の歯を接触させることが癖になっていることがあり、これを歯列接触癖といいます。
日常的に上下の歯を接触させていると、あごの筋肉に負担がかかります。
そうすると、あごの筋肉が常に緊張し続ける、いわゆる過緊張の状態になり、負担がかかってしまいます。
顎関節症の50%程度の方が、この癖があると言われています。
またTCHは無意識に行っているので、治すことが難しいとも言われています。
まずは、 TCHがあるかチェックして自覚することができたら、意識的に噛み合わせを離すようにしましょう。
目に付く所に「TCHを意識する」のようなメモを置いておくと意識しやすくなるでしょう。
また、歯ぎしりや食いしばりの強い力の方がトラブルになりやすいと考えることを多いですが、強い力は1.5分程度しか持続しないことが分かっています。
TCHの様な弱い力は持続時間が長く、2.5時間も持続するので負荷は60倍にもなります。
TCHをしているタイミングは、
・パソコン・テレビゲーム
・ストレスがかかった時
・寒い時
・下を向く時
・寝ている時
などの日常の中にもあります。
TCHについては、「TCH(歯列接触癖)」で、いしはた院長の解説動画もご覧いただけます。
【噛み癖】
手や足、耳や目に右利きや左利きがあるように、利きあごも存在します。
食事の際によく噛む方が利きあごになります。
左右バランス良く噛むことがあごにとっては好ましいのですが、どちらかに偏って噛む癖がついていることを「偏咀嚼」といいます。
基本的には、意識して両方で噛むことで改善を目指します。
しかし、虫歯があって噛めない、歯周病があって噛みにくい、噛み合わせが悪い、被せ物の高さがあっていないなど、口に不具合がある場合は原因から改善する必要があります。
そして、症状が悪化している場合には原因の改善が難しくなるので、口の不具合を感じたらできるだけ早めに治療しましょう。
【噛み合わせ】
顎関節症は噛み合わせが悪い「不正咬合」で、引き起こされることもあります。
奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わない「開咬」や、下あごの方が前に出ている「反対咬合」などは、無理な噛み合わせで常に噛んでいるので、あごや頬の筋肉が緊張します。
その結果、負担が蓄積することで、顎関節症のリスクが高くなります。
噛み合わせは自分で元に戻すことはできません。
不正咬合が疑われる場合には、歯科医院を受診しましょう。
噛み合わせなどを確認して不正咬合の場合には、歯列を整える矯正も検討するとよいでしょう。
【外傷】
交通事故やケガなど理由はさまざまですが、外傷によって強い力が加わることで、顎関節症になってしまうこともあります。
スポーツをしていて、思いがけない外傷を受けていることもあります。
あごは上のあごにぶら下がっているので、外から受ける力に弱く、顎関節症を引き起こしてしまうことがあるのです。
外傷があると予期せず大きな力が加わって組織が激しく損傷し、顎関節が炎症を起こして痛みがでます。
【姿勢】
下のあごは頭の骨にぶら下がっていて、自然にバランスが取れる位置にくるようになっています。
姿勢が悪いと、この位置が変わってしまい、下あごの位置がずれて顎関節の負担になります。
パソコンを長時間使用して猫背になっていたり、姿勢が悪いままスマホ操作やゲームをしていたりすると、あごに負担をかける原因になります。
【ストレス】
ストレスは、歯ぎしりや食いしばり、TCHにつながります。
ストレスがかかって食いしばりをすると、エンドルフィンという物質が脳内に出て一時的に気持ちが楽になります。
防御反応で食いしばりにつながっているのですが、あごの負担になるので、ほかの方法で発散できるようにしましょう。
ストレスフリーな環境を整えるのはなかなか難しいので、適度な運動や趣味でストレスを軽減、発散しましょう。
ヨガや瞑想もおすすめです。
顎関節症の治療法とセルフケア
顎関節症はさまざまな要因が重なって起きるので、患者様によって治療法が異なります。
当院の顎関節症治療については、当サイトの「顎関節症(がくかんせつしょう)」のページでも紹介していますので、あわせてご覧ください。
【スプリント治療】
スプリント療法は「マウスピース」を使用した治療法です。
噛み合わせが正しい位置で行われていないことにより、あごに負担がかかっていることが多いので、上下の噛み合わせが正しい位置にくるように調整します。
あごの位置が正しい位置にくると、筋肉の緊張がほぐれ顎関節がリラックスした状態になります。
スプリント治療であごがスムーズに動くようになると、被せ物や入れ歯などで正しい噛み合わせに調整することもあります。
【薬物療法】
炎症が強く、あごに痛みがある場合には、薬を服用して痛みを抑える場合もあります。
この場合には消炎鎮痛剤を用います。
ほかに服用している薬がある時には、歯科医師と相談しましょう。
【運動療法】
あご周りのストレッチを行ったり、ずれてしまった関節を元に戻すような運動をして、徐々に口を開けられるようにしていきます。
顎関節症のセルフケア
顎関節症のセルフケアには、以下の2つの方法があります。
【開咬ストレッチ】
- こめかみに手を沿えてあごを右に動かします。
- 次にあごを左に動かします。
- あごを前に突き出します。
大きく口を開けます1~4を10回繰り返すのを1セットとして1日5セット行います。
あごをゆっくり動かし、少し筋肉に負荷をかけるように行いましょう。
【筋肉マッサージ】
ひと差し指と中指の2本を痛みがある部分に当てます。
こめかみ(側頭筋)部分や耳と頬の間(咬筋)に手を当てて、円を描くように筋肉をほぐします。少し痛気持ち良い位がちょうど良い強さです。
身体が温まっているとほぐれやすいので、入浴中や入浴後に行うのがおすすめです。
まとめ
顎関節症の原因は、日常生活の癖が大きく関係してきます。
姿勢や噛みくせ、THCは意識することで改善できる部分も多い です。
さまざまな原因が考えられるので、あごの痛みがあった場合には早めに歯科医院を受診して口の状態と原因を把握することが大切です。
KAZUKI.ISHIHATA